「香・味・園」を紡いで、お茶を世界に。
このまちに住む
多彩な「人」を紹介する
十人十色(ジュウニントイロ)。
第4話は
父と祖父母の想いを受け継いで
香りと味を紡ぐ人。
「香味園上領茶舗
(こうみえんかみりょうちゃほ)」
を営む
リコッタ(上領)瑠美さんと
アディさんご夫妻にお話を伺いました。
リコッタ(上領)瑠美さん
大阪府出身、同志社大学商学部卒業
2006-2015年広告業界勤務
2015年よりブライダル業界に転職
新事業立ち上げに携わる。
2017年春、父方の故郷である津和野に移住。
祖父母が営んでいた
「香味園 上領茶舗」を引き継ぐ。
*
アディ(リコッタ・アドリエン)さん
南フランス・マルセイユ出身
エレクトリカルエンジニアとして勤務。
一年間休職しオーストラリアへ渡航。
その帰りに旅行で寄った日本で
瑠美さんと出逢い日本への移住を決意。
大阪から津和野に移住し
瑠美さんと共に同店を営む。
Q1.あなたが津和野に住んでいる
理由や経緯を教えてください。
瑠美さん
「私は生まれも育ちも大阪です。
就職も住宅やブライダル、
人材などの広告会社に入社し
大阪で勤務していました。
2014年、父が病気になり
余命数年とわかったことが
大きな転機でした。
主人のアディと出逢ったのも
ちょうど同じ頃です。
フランスの国民性とも
言えるかもしれませんが
アディは
“家族が一番大切で
それを支えるために仕事をする”
という考えの人なんです。
日本の
特に都会ではどうしても
“仕事第一”でなくてはならない
ような風潮がありますよね。
子どもが熱を出しても
その日の取引先とのアポを
ドタキャンするわけにはいかない。
結婚して子供ができたら
家族を最優先にしたい。
そう思いながらも
そうできない暮らしに
もどかしさを感じていました。
アディと二人
この先どう生きていきたいか
そう考えたとき
家族に寄り添った暮らしをしたいと
思うようになりました。
それからアディと何度か
津和野を訪れる機会がありました。
父は定年したら津和野に帰り
祖父母の営む茶舗を
継ぐつもりでいたんです。
私も幼い頃は津和野に
毎年夏休みや冬休みに
家族で遊びにきていました。
近所の駄菓子屋さんに
連れて行ってもらったり
おもちゃ屋さんに行ったり。
ところが久々に訪れたら
その時あったはずの店が
どこも閉まっていたんです。
まるで抜け殻のようで
父の故郷がなくなってしまうような
淋しい気持ちになりました。
それと同時に
私とアディの住みたい場所に
津和野がフィットしているという
感覚も芽生えました。
四季折々の美しい自然。
鳥の声しか聞こえないような静かさや
ゆったりと流れる時間。
家族と寄り添いながら
仕事ができそうな環境。
本当に身の回りにあって欲しいものが
揃っていると感じました。
そこから地域の方に
話しを聞くにつれて
津和野を訪れる外国人旅行者は
フランス人が一番多いことなどを知り
色々なご縁が繋がって
移り住むことを決めました。」
Q2.あなたの今のお仕事について
教えてください。
瑠美さん
「父の想いを受け継ぎ
祖父母の営んできた店
“香味園上領茶舗”を継ぎました。
自社の茶畑は持たず
農家さんに
大切に育てて頂いたお茶を
ブレンドし国内外に販売する
製造と小売業の店です。
最初の2年間は
後継者を支援するための
町の事業継承の制度を利用しました。
私は主に広報や市場調査を
担当しています。
だれにどんなお茶を
飲んでもらいたいか
それをどんなルートで
販売するかを考える仕事です。
アディがそのニーズに合ったお茶を
ブレンドしてくれています。
少しの分量の違いで
大きく味が変わるので
何度も試作して
ちょうど良い配合を
考案してくれています。」
Q3.あなたがお仕事の中で
大切にしていることは何ですか?
瑠美さん
「“香味園(こうみえん)”という
祖父母の頃からの名前を引き継ぎ
その名前の意味を大切にしています。
“香”と“味”は文字通り
香りや味、効能など
その人に合ったお茶を届けたいという
想いを込めています。
いま私たちは特に
“園”という言葉を大切にしています。
“園”はお茶を飲む場所だったり
シーンを意味しています。
現代は自販機やコンビニが
どこにでもあって
すぐに飲み物を買えるから
自分でお茶を淹れる機会って
少なくなっていますよね。
お茶に触れる
場所や場面をつくることで
お茶を飲むこと、選ぶことを
楽しんでもらいたい。
お茶を淹れる時間を
誰かと楽しんでもらいたい。
“楽しい”と感じることで
お茶をもっと身近に
飲む機会を増やしていければ
と思っています。
お茶選びが楽しくなるように
一般的な日本茶や
津和野の特産
ざら茶(カワラケツメイ)はもちろん
オリジナルブレンドティーも
取り揃えました。
写真はほうじ茶をベースに
ラベンダーまたはエルダーフラワー
エキナセア、セイロン紅茶
などをブレンドしています。
冬は風邪を引きやすいので
その予防や症状の緩和に効く
ハーブを混ぜています。
お店に来て頂いた方には
季節や体調に合わせて
その方にあったブレンドティーを
つくらせて頂いています。
また最近は
近隣のイベントスペースや
店舗でのご予約を頂いた際に
月に1・2度の頻度で
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<MY CHA>
オリジナルブレンド茶体験
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を催しています。
自分でブレンドしたお茶は
愛着が沸きますよね。
買ったものよりもずっと
お茶を楽しんでもらえるかな、と。
今後は
フランスの旅行会社と連携して
津和野旅行の体験のひとつとして
<MY CHA>作りを
体験してもらう企画もしています。」
Q4.あなたが今はまっている
モノ・コトは何ですか?
瑠美さん
「美味しいものを食べること!
ですかね。笑
都会暮らしだったときは
“食べに行くこと”が楽しみでしたが
津和野に住んでから
“作ること”が楽しくなりました。
ここには新鮮な食材や
めずらしい野菜がたくさんあります。
そして食材をつくっている人や
活かす知恵を持っている人も
まわりにたくさん居るんです。
昨年一番頑張ったのは
栗の渋皮煮です。
夜21時半からはじめて
夜中の2時半までかかりました。笑
手間がかかりますが
手間暇かけて作ることが楽しくて
“こういう暮らしがしたかったんだ”
と気づく機会にもなりました。」
Q5.「津和野のここ
(場所・モノ・人)がおすすめ!」
を教えてください。
瑠美さん
「たくさんあって
ひとつに絞れないです!笑
雨の日の夜の殿町通りは
燈籠の灯りが濡れた石畳に反射して
とても綺麗です。
夜歩く人も少ないからシンとして静か。
秋の朝に出る
雲海(朝霧)も幻想的です。
5月にはつばめが
たくさん飛んできて
電線にビッシリとまってたり。
四季折々の美しい景色が
たくさんあります。」
アディさん
「大きな木が好きですね。
鷲原八幡宮の裏の
樹齢1000年くらいの大杉や
弥栄神社のケヤキ
大元神社のクスノキ
大きな木がたくさんあります。
堀氏庭園や
永明寺もいいですね。
人も少なくて静かだから
漂う雰囲気が心地良いです。」
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